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 私達鍼灸部会および青年部有志の活動として行っているのが早稲田フィールドです。
 鍼灸師になって何をしたいのか、人間と触れ合うってどういうことなのか、学生も有資格者も初心に戻って学んでいます。


 新宿中央公園には不況の時代を反映してホームレスの人たちが年々増え続けています。家族からも社会からも離脱してしまったホームレスの人たちに対して、行政の手が届かないところで宗教団体や各種支援団体が手を差し伸べているようです。

 

 部会ではその支援団体の一つである「スープの会」の関係者に対して毎月鍼灸のフィールド活動を行っています。スープの会ではボランティアと共に数年前より新宿駅周辺のホームレスに対して毎週ひとり一人を訪問してちょっとした食事の配給と会の存在を知らせて、社会復帰への手助けをする活動を続けています。

 

 会の責任者である後藤さんは学生時代より社会福祉に興味を持ち何とかしてホームレスの人たちの社会復帰に役立ちたいと「スープの会」を設立し、行政の手の届かないところにまで踏み込んで活動に取り組んでいます。ホームレスの人たちに、まず住居を提供することによって社会保障、仕事、そして自立への可能性を広げその成果もあげています。

 

 新宿の早稲田に「スープの会」の活動拠点のひとつである支援ホームがあります。ここを拠点として社会復帰へのスタートを切ります。長年の無理な生活から身体を壊している人が多いのが現状ですが、限られた予算の中から十分な医療を受けるというわけにはいきません。住居者の一人が以前鍼灸治療の経験があり、身体の不調から「また鍼灸を受けたい」という話をしたのがきっかけで、鍼灸部会がフィールド活動を行うことになりました。

 

 後藤さんは「ホームレスの人たちが社会に復帰するためにはただ住居と仕事を世話すれば済むという問題ではない。地域とのつながり、自分も社会に関わっているという実感が大事です。」といいます。近隣の住民、商店街、外国人留学生、子供達など、さまざまなつながりを生かしてホームの人たちを地域に根ざしていく活動をしています。

 

 その流れの中で鍼灸部会とも交流していく芽が生まれました。昨年春よりホームの部屋を借りてフィールド活動を行いました。最初は鍼灸師3人、2回目は4人が参加してホームの居住者とそれを支えるボランティアの人たちを治療させていただきました。ホーム利用者は増え続けています。長年の無理がたたって身体と、心を傷めています。ボランティアの人たちは20代から30代の若い人たちが多く、各自仕事をしながらもスープの会の活動を支えていくという使命感に燃えています。ほとんどの人たちが鍼灸に興味はあるけれど、今まで治療した経験がなく興味深々、怖いもの見たさ、という面があります。
スープの会のスタッフ(スープの会のボランティアの方々)

 

 またこちらとしてもなるべく初心者が経験を積む場にしたい思いがありますから免許を持っていても経験の少ない鍼灸師にも思い切って治療を任せるなどお互いに刺激的な日曜日の午後を過ごすことになります。静かな住宅街の一角にもくもくとお灸の香りが漂います。

 

 フィールド活動を経験した初心者の会員は「本当に病気を持った患者さんを治療したのははじめてで緊張した。勉強になった。」「前の夜からドキドキしてツボの本を真剣に復習した。」「ボランティアで心理カウンセラーの人がいて鍼灸の話をすることでお互いに情報交換しあえてよかった。」など、それぞれいつもとは違った体験をして、治療の可能性を広げるきっかけを掴むことができました。

 

 活動は当初の月一回から昨年夏より月二回になり、今年度も継続して行く予定です。新医協鍼灸部会としては治療院に見える患者さんだけを治療対象とするのではなく日本の伝統医学としての鍼灸を広く一般の方々にも普及して病気の予防に活用していただきたい思いがあります。臨床講座で学んだことを実践できる場、鍼灸を普及する場、また私たちが社会を学ぶ場とすることが出来たらと様々な思いをつのらせています。

 

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